シンポジウムの概要

近年、ICT技術と社会のつながりについて注目を集めています。社会においては、人、集団、組織、社会と 文化それぞれにおいて、各種技術により支援されうる内容、手法およびプロセスが異なります。 これらの支援に有効な技術として、人工知能、クラウド、ビッグデータなどをキーワードとした技術が含まれておりますが、 学際的研究をなくしてはより良い支援や新しい視点での解決策は見つかりません。本シンポジウムは、以上の観点のもと、 人間の意思決定や合意形成とそれらを支援する新しい技術ならびに手法をテーマとしており、 次世代の社会の基盤となるICT技術とその可能性について、具体的な事例や研究を含め国内外で精力的に活動している 7名の研究者に講演をしていただきます。

日時 2017年3月1日(水) 9:45~16:50
会場 都市センターホテル 706会議室

 〒102-0093 東京都千代田区平河町2-4-1 (Google Map
参加費 無料

お申込み

応募は締め切りました。たくさんのご参加ありがとうございました。

プログラム

講演プログラムの順番を一部変更致しました。(2017年2月28日)
時間 プログラム内容
9:45-10:15 受付、モーニングコーヒー
10:15-10:20 開会挨拶 松尾徳朗(産業技術大学院大学 教授)
10:20-11:00 招待講演 大規模合意形成支援のためのマルチエージェント自動交渉
藤田桂英(東京農工大学 准教授)

マルチエージェントシステムの分野において自動交渉の研究が行われている。自動交渉とは複数の知的な主体(エージェント)がどのようにして自動的に合意案を発見し、最終的な合意に導くために必要な技術である。本講演では、学術的なマルチエージェント自動交渉の説明や自動交渉におけるエージェント戦略を競い合う自動交渉エージェント競技会(ANAC)に関して紹介する。また、スケーラビリティやプライバシーに配慮など現実の交渉問題に対応させる際の課題を解決した自動交渉手法を示す。さらに、大規模合意形成をマルチエージェント自動交渉によって支援する方法についての研究成果を紹介する。

11:00-11:40 招待講演 観光地や展示会場などのマーケティング分野への適用を目指したクラウドベースのロボットサービス
成田雅彦(産業技術大学院大学 教授)

近年,観光目的地の立場からマーケティングを行う観光地マーケティングが注目されているが,来訪している旅客に関する情報が地域に集積されていないことが一つの課題とされている.一方,Web分野では, WebマーケティングやSNS分析などの顧客情報の収集の手法が知られているが,ロボット分野では,利用者にサービスを提供することを主たる対象とし、顧客情報の収集については重点が置かれていなかった.このような背景のもと,筆者は,イベントや観光地でのマーケティングへの適用を目指したロボットを使った来訪者の情報を取得活用手法の研究をすすめている.本講演では,ロボットとユーザデバイスを利用したアンケートサービスとそのデータ活用の有効性について,大規模イベントや商店街での実証実験を通しての知見をもとに考察する.

11:40-13:00 昼食(コーヒー)
13:00-13:40 招待講演 オープンソースの学会向け会員管理システムとオープンソースビジネスの実践
三浦幸太郎(株式会社 いろはソフト代表取締役社長)

現状、学会や国際会議の運営業務は多岐にわたり、それらの業務を支援するシステムにも様々なものがあるが、商用でプロプライエタリのものが多く、オープンソースソフトウェアとして提供されている例が極めて少ない。
そこで2016年4月から2017年2月の間、学会や国際会議の運営に必要かつ基本的な会員管理システムを、オープンソースソフトウェアとして開発、実証実験を行い、さらにオープンソースソフトウェアのビジネス上のメリット、デメリットの検証を行った。開発したプロダクトはOAMMS(Open Association Member Management System)と命名し、既に公開済みである。
約1年をかけて実施した本活動の成果と、また同じくオープンソースソフトウェアとして開発し、現在ビジネスを展開中のeラーニングシステム「iroha Board」の現状についてご紹介する。

13:40-14:20 招待講演 学習者集団のデータを用いた自動メンタリングシステム
後藤隆彰(流通経済大学 准教授)

これまで、多様な学習方法に対応するためにeラーニングが広く活用されている。eラーニングは学習者の学習場所、タイミングを問わずに学習でき、学習者の自主性に依存する部分が多いため、学習者の学習への意欲を維持することが難しい場合がある。そのため、eラーニング運営者や教員は、学習者の学習状況の確認と適切なアドバイスを行う必要がある。このように、eラーニング運営者や教員が学生と1対1になり、学習の動機づけやスケジューリングのアドバイスを行うことをメンタリングと呼ぶ。しかし、eラーニング受講者の数が多い場合、運営者が学習者全員に対してメンタリングを行うことは難しく、メンタリングを支援する仕組み・システムが重要となる。
本講演では、学習管理システムから得られる学習のログを対象とした自動メンタリングの内容について述べる。

14:20-15:00 招待講演 ユーザ行動に基づくICTインフラ整備およびサービス普及
岩下基(千葉工業大学 教授)

ブロードバンドサービスを提供するために必要となる光ネットワークやLTEなどの無線ネットワーク等のICTインフラ整備には膨大な期間と稼働を要する。そのため、サービス普及に向けた潜在需要を把握した効率的なインフラ整備方法が重要となる。本講演では、ユーザの行動特性を各エリアの潜在需要に反映したサービス普及モデルを構築し、どのようにインフラ整備を実施するエリアを選定していくか簡易に解決する手法を紹介する。

15:00-15:10 コーヒーブレーク
15:10-16:10 基調講演 エージェント技術に基づく合意形成支援システムの創成
伊藤孝行(名古屋工業大学 教授)

本研究では、エージェント技術に基づく合意形成支援システムの創成を目指し、実際のフィールドでの社会実験を通じ、効果的なエージェント技術を実現する。究極の目的は合意最適化エージェントと呼ぶAIプログラムを実現することで、人々の合意形成をより良いものにする。これまで、合意形成や意見集約に関して、名古屋市をメインとする地方行政と協力し、社会実験を行なっており、実際の市民による議論のデータを広く収集してきた。一方で、実世界で使えるオンラインの議論支援の方法について多くの方法論を見出してきた。以上の積み重ねた知見と集約したデータから、合意最適化エージェントを実現する。本発表では、これまでの研究活動と今後の展望について議論する。

16:10-16:50 招待講演 実務的意思決定のひとつのあり方:「納得できる意思決定」という概念
細田貴明(早稲田大学大学院 博士後期課程)

意思決定研究の一分野である規範的意思決定理論は、期待効用最大化原理に基づく意思決定こそが合理的意思決定であると主張し、例えば、キーニーらは、その理論のひとつとして多属性(多目標)効用理論を開発した。一方、記述的意思決定理論は、サイモンの満足化原理の主張や、モントゴメリの優越構造探索モデルの提案から、人間は必ずしも規範的意思決定理論に従って意思決定を行っていないと主張している。
本講演では、実務的意思決定の観察を通して発見した、代替案のみを評価して選択する意思決定ではなく、自己の意思決定過程そのものに納得して代替案を選択する意思決定の概念枠組みを「納得できる意思決定」と仮称して提示する。次に、その概念をもとに開発した納得過程模索モデルと、実務的意思決定の事例、実務家の評価を紹介する。最後に、事例調査や評価を通して見出した、企業文化の相違による意思決定に対する目的意識のあり方について考察する。

16:50-16:55 閉会挨拶 松尾徳朗(産業技術大学院大学 教授)

講演者およびコーディネータ略歴

伊藤孝行(名古屋工業大学 教授)

2000年名工大大学院工学研究科博士後期課程修了.博士(工学).1999年日本学術振興会特別研究員.2000-2001年南カリフォルニア大学Information Sciences Institute(USC/ISI)客員研究員.2001年北陸先端科学技術大学院大学知識科学教育研究センター助教授.2003年より名古屋工業大学大学院情報工学専攻助教授.2005-2006年米国ハーバード大学Division of Engineering and Applied Science客員研究員及び,米国マサチューセッツ工科大学Sloan School of Management客員研究員.2006年より名古屋工業大学大学院産業戦略工学専攻准教授.2008-2009年米国マサチューセッツ工科大学Sloan School of Management客員研究員.2009-2011年科学技術振興機構(JST)さきがけ大挑戦型研究員.2010年東京大学客員研究員,名古屋工業大学グリーン・コンピューティング研究所所長.2014年より名古屋工業大学大学院産業戦略工学専攻/情報工学教育類 教授.2015年名古屋工業大学大学院産業戦略工学専攻専攻長.2015年より科学技術振興機構(JST)CREST代表研究者,名古屋工業大学コレクティブインテリジェンス研究所(プロジェクト研究所)所長.2015年より名古屋工業大学大学院情報工学専攻/情報工学教育類/創造教育課程 教授,現在に至る.2016年人工知能学会業績賞.2014年ITSシンポジウム2014最優秀論文賞.2014年日本ソフトウェア科学会基礎研究賞.2014年日本学術振興会賞受賞.2013年文部科学大臣表彰科学技術賞受賞(研究部門).国際会議AAMAS2013プログラムチェア.2011年内閣府最先端・次世代研究開発プロジェクト代表研究者.2010年IFAAMAS国際財団理事.2007年文部科学大臣表彰若手科学者賞受賞.情報処理学会長尾真記念特別賞受賞.2006年International Joint Conference on Autonomous Agents and Multi-Agent Systems (AAMAS2006)最優秀論文賞受賞.2005年日本ソフトウェア科学会論文賞受賞.平成16年度IPA未踏ソフトウェア創造事業スーパークリエータ認定.第66回情報処理学会全国大会優秀賞及び奨励賞受賞.マルチエージェントシステム,計算論的メカニズムデザイン,合意形成,限定合理性,ソフトウェア工学に興味を持つ.マルチエージェントシステム国際財団(IFAAMAS)理事,ACM上級会員,IEEE上級会員,情報処理学会会員,AAAI,電子情報通信学会,日本ソフトウェア科学会,人工知能学会,計測制御自動学会,日本経済学会,日本栄養改善学会,日本建築学会,言語処理学会各会員.

成田雅彦(産業技術大学院大学 教授)

1980年早稲田大学大学院数学科修士課程修了.同年富士通(株)入社.以来,ミドルウエア製品Interstageなどの企画・研究開発,GUI, Webサービスなどの標準活動に従事.2008年より産業技術大学院大学教授.2010年首都大学東京システムデザイン研究科博士課程修了,博士(工学). 2004年にロボットサービスイニシアチブの立ち上げに参加し,ロボット学会ネットワークロボットサービス専門委員会委員長,日本人工知能学会近未来チャレンジCRSPプロジェクトリーダを務め, ベイエリアおもてなしロボット研究会に参加している

三浦幸太郎(株式会社 いろはソフト代表取締役社長)

1978年山形県生まれ。16歳の頃から独学でプログラミングを始め、長年教育向けソフトウェアを開発。
2000年、(株)デジタル・ナレッジに入社、eラーニング用オーサリングツールやLMSの開発に携わる。
2002年、(有)エデュケーション・アンド・テクノロジーを設立。大手企業や日本初のインターネット大学のeラーニングシステムを開発。また携帯電話向けの教育アプリを独自に開発。
2008年、事業を清算し、渡米。カリフォルニア州のXLsoft CorporationにてBIシステムのオープンソース化プロジェクトに参加。
2015年、(株)いろはソフトを設立。学校・企業向けeラーニングシステムの開発の他、iroha Note、iroha Quiz、iroha Boardなど教育向けソフトウェアを独自に開発。
また現在、産業技術大学院大学 産業技術研究科の松尾研究室に所属し、オープンソースビジネスについて研究中。

後藤隆彰(流通経済大学 准教授)

流通経済大学流通情報学部准教授。2009年東洋大学大学院工学研究科情報工学専攻博士後期課程修了。博士(工学)。電気通信大学・特任助教を経て、2015年に流通経済大学に着任、現在に至る。

岩下基(千葉工業大学 教授)

1985年早稲田大学理工学研究科数学専攻博士前期課程了。同年日本電信電話株式会社・電気通信研究所入所。1992年より1年間、英国ブリティッシュ・テレコム客員研究員。1999年博士(工学)取得。2010年千葉工業大学・社会システム科学部准教授、2013年教授(現在に至る)。

細田貴明(早稲田大学大学院 博士後期課程)

1977年東京都生まれ。2003年に早稲田大学大学院社会科学研究科修士課程を修了。金融関係のシステム開発業務に携わる傍ら、2010年に早稲田大学大学院社会科学研究科博士後期課程へ入学。経営科学研究を専攻し、記述的意思決定理論として実務的意思決定のあり方について研究。並行して2012年に産業技術大学院大学産業技術研究科情報アーキテクチャ専攻入学、2015年に同大学院を修了。現在、早稲田大学大学院にて博士学位申請中。2017年3月学位取得見込み。

藤田桂英(東京農工大学 准教授)

2011年名古屋工業大学大学院情報工学専攻博士後期課程修了。博士(工学)。2010年から日本学術振興会特別研究員(DC1/PD).2010年から2011年にかけてマサチューセッツ工科大学スローン経営大学院訪問学生。2011年から2012年にかけて東京大学大学院工学系研究科総合研究機構特任研究員。2012年より東京農工大学大学院工学研究院准教授、現在に至る。専門は自動交渉、マルチエージェントシステム、人工知能。

シンポジウムコーディネータ
松尾徳朗(産業技術大学院大学 教授)

2001年 佐賀大学文化教育学部卒業。学士(学校教育)。2003年 北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科修了。修士(知識科学)。2006年 年名古屋工業大学大学院修了。博士(工学)。同年、山形大学大学院 准教授、2012年、公立首都大学東京産業技術大学院大学 教授。これまで、カリフォルニア大学アーバイン校 客員研究員(2010-2011)、セントラルミシガン大学SEITIリサーチフェロー(2010-現在)名古屋工業大学プロジェクト教授(2011-2014、2015-現在)、上海大学 客員研究員(2011-2013)、Bina Nusantara University客員教授(2015-現在)、ネバダ大学ラスベガス校客員教授(2016-2017)、米国計算機情報科学会副会長(2015-現在)、日本政府観光局MICE誘致アンバサダー(2016-現在)、熊本市MICEアンバサダー(2016-現在)など歴任。 平成23年度日本政府観光局(JNTO)「国際会議誘致・貢献賞」などを受賞。専門は、応用情報学、知能情報学、材料情報学、観光情報学、コンベンションとイベントビジネス、MICE経営学。

お申込み

応募は締め切りました。たくさんのご参加ありがとうございました。

主催

JST CREST「エージェント技術に基づく大規模合意形成支援システムの創成(名古屋工業大学 伊藤孝行 研究代表者)」
松尾共同研究者グループ